【猫狩り族の長】~分かりあえない二人の、分かりあえない6日間が、始まった~読んでみたので感想を…

ハローです!
今回は私いなりが実際に読んでみた、2021年5月17日に発売された麻枝准さんの処女作になる「猫狩り族の長」の感想など紹介出来たらなって思います。
ネタバレを気にする方は先に本書を読んじゃってください!!

麻枝准さんと言えばゲームブランド『key』のあらゆる作品のゲームシナリオライター、作詞・作曲家とkeyを設立し幅広く
その恵まれた才能を生かし知る人ぞ知る有名ブランドへ導いた第一人者。
そんな麻枝准さんが“初めて本当に思っていることを書いた”小説。
シンガーソングライターのLISAをはじめ、鈴木このみ、楠木ともり、やなぎなぎなど数多くの有名人から好評を得ています。

猫狩り族の長


あらすじ

海辺で出会った彼女は、美しく饒舌で世界で誰よりも—— 死にたかった。 猫が戯れるのを眺めていた時椿は、断崖絶壁に立つ女性に声をかける。 飛び降りようとする黒髪の美女・十郎丸は、多くのヒット曲をてがける作曲家だった。 彼女は予想に反して、雄弁で自信に満ちた口調で死にたい理由を語ってのける。 人生で初めて出会った才能豊かな人間が堂々と死のうとしている事実に混乱する時椿。 なんとかその日は翻意させ、下宿に連れて帰ることとなる。 なぜか猫に嫌われる死にたい天才作曲家と、何も持たない大学生。 分かりあえない二人の、分かりあえない6日間が、始まった。 (公式HPより)


実際に読んでみた感想

今作品は幻想的な不思議なファンタジーな作品ではなく、現実な苦悩や単純だけど難しい答えのない問題が作中で渦巻いており没入して追体験ができました。
物語の主人公、時椿(ときつばき)は自殺名所で監視しているところから展開され
その名所で自殺をしようとしていた綺麗な女性十郎丸と出会います。


現世に絶望し、死んだ後の世界に期待し
自殺しようとしていた十郎丸


何も得意な事がない、俗に言う普通な主人公と天才作曲家の5日間+1日のやりとりがとても悲しく
しかし日を重ねる毎に徐々に心を開いていく十郎丸が愛おしくも感じます…まるで野良猫が懐いていくみたいに。
5日間+1日と表現したのは、最後の1日に十郎丸が表に出さず心の中で抱き、感じていた事がわかるからです。
共に過ごす5日間は改心させたい時椿の頑張りだけで、尽く十郎丸に打ち砕かれます


確かに5日間と少ない期間でどうにかなるものではないですよね
ツンな十郎丸ですが確かに変わっていました
恋人がいた時もあったが常に1人で孤独だった十郎丸には少なからず時椿の存在は大きかったのかもしれません。


そして約束の最終日に時椿の頑張りのおかげで十郎丸は改心しようと決断しかけますが
迷惑をかけると感じ、勝手に罪を感じた彼女は強力な睡眠薬で時椿は意識を失います。


そうして6日目-
意識朦朧に起きた時椿はこの5日間一緒にいた彼女がいない事に焦りを覚えます。
「猫狩り族の長」をキーワードにSNSで場所を絞り出し、自殺をしようとしていた十郎丸と再会します。

この物語は”それぞれの考え方”によって変化するのですが、個人的にはハッピーエンドで終わりませんでした。
時椿と十郎丸の互いの感情。
平凡と天才の苦しみが心に残るほど、感傷に浸ります。
小説を読んだ後に公式HPに流れるBGMを聴くことをオススメします。没入感が!凄い!!
もちろん事前に聴いて、曲を思い出しながら読むのも良いと思います!!
「悲しくも暗くもそこには確かに希望がある」自分はそう言う風な感情が沸々と感じました。

改めて大切な人のありがたみを感じることのできた作品に出会えたと思いました…
欲を言うとアニメ化してほしい!!!!

多くの方にぜひ読んで欲しいと思いました!
それではー!!

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