《記事内容》
鍵はジオン・ダイクンにあった? アニメ『機動戦士ガンダムUC』には、『機動戦士ガンダム』の人気キャラクターであるシャア・アズナブルの生き写しのようなキャラクターが登場します。ラスボスでもあるフル・フロンタルです。
「赤い彗星の再来」として、赤いモビルスーツに搭乗するだけでなく、外見や声音、額の傷までシャアに似た存在であり、仮面を付けてネオ・ジオンを率いています。
彼の正体は謎に包まれています。ジオン共和国の外務大臣であるモナハン・バハロが、強化人間の外見をシャアに似せて、送り込んだ人物と言われており、体格などでシャアと異なる部分もあります。
『機動戦士ガンダムNT』のパンフレットでは、フロンタルの正体について、シャアのクローン説も上げられています。 フロンタル自身の性格はシャアとは異なりますが、他者に「シャアだと思われるような振る舞い」をしていることは確かで、シャアの個人情報を多く与えられているものと思われます。
フロンタルはバナージとの最終決戦時には、ニュータイプとして本物のシャアと交信するなど、シャアとの関係性を暗示するような展開もあります。 彼を送り込んだというモナハン・バハロは、一年戦争時にジオン公国首相だったダルシア・バハロの息子です。モナハンの執務室にジオン・ズム・ダイクンの肖像画があることから見て、ダイクン派の系譜にある人物でしょう。
モナハンの目的は、地球を経済圏から切り離し、宇宙だけで経済を完結させる「コロニー共栄圏」の実現であり、そのためにフロンタルをネオ・ジオンに送り込んだようです。 ジオン共和国国防大臣でありつつ、シャアが行方不明となり、ガタガタとなったネオ・ジオンにフロンタルを送り込んで支援する。
同時にザビ家の後継者であるミネバを支えてもいるという複雑な立場ですが、彼はどうやって「シャアの再来」を用意できたのでしょうか。
筆者が推察するフロンタルの正体とは「シャアのクローン」です。それも「シャア本人からの協力」を得たクローンではないかと考えられます。
一年戦争時、ジオン公国は多くのクローンを研究していました。ギレン・ザビとニュータイプ女性によって作り出されたという説もあるエルピー・プルや、ザビ家の血筋だと自認し、叛乱を起こしたグレミー・トトは、クローン人間として描かれることが多いです。
グレミーの行動から見て、クローン人間でも遺伝子が優れているなら、指導者になれるという考え方があったのかもしれません。 とはいえ、フロンタルは30代くらいの偉丈夫として描かれています。
宇宙世紀0079年である1年戦争の時期に、シャアのクローンを作ったとしても、宇宙世紀0096年の『UC』では17歳です。フロンタルがそれほど若いようには見えません。 つまり、クローン人間の研究は、シャアが幼いころから行われていたのではないでしょうか。フロンタルを30歳と仮定するなら、その生まれは宇宙世紀0066年。この時点であれば、ジオン・ズム・ダイクンは生きており、ジオン共和国の首相をしています。
シャアは一年戦争時から自分のことをニュータイプだと自認していますが、それにはきっと根拠があるでしょう。それを筆者は「ダイクンから受けた選民思想」によるものだと推理します。スペースノイドの独立と、人類のニュータイプへの進化を説くダイクンにとって、自分の息子は「一番ニュータイプに近い存在」と見え、持ち上げていたのではないでしょうか。 その優れた人類になるであろう息子を複製しようとして生まれたのが、クローン技術ではないでしょうか。
そうした高度技術が「ザビ家が政権を取ってから実用化」されたかは微妙であり、ダイクンの時代から行われていたのではないでしょうか。 そして、ジオン共和国首相になるダルシア・バハロは、ダイクンと関係性が深い側近的立場として、クローン育成に関わってきたのでしょう。 ダルシアはザビ家が政権を奪ってから、クローン技術を手土産にザビ家に取り入り、ジオン共和国首相となった、というのであれば、息子のモナハン・バハロがフロンタルにシャアの情報を多く与えられることを、無理なく説明できます。
バハロ家はシャアがコントロールに置けないか、あるいは地球連邦軍による撃墜死、指導者としての能力がない場合などを想定し、より理想的な指導者として育てた「シャアのスペア」を用意していたのでしょう。
だから、フロンタルはシャアのような精神の脆弱さが見られないのだと思われます。 フロンタルがいきなり、ネオ・ジオンの指導者になれたのも、モナハン・バハロが事前にネオ・ジオンの幹部に「シャアに何かがあった場合は、ダイクンの遺伝子を継ぐ指導者を用意してあり、連れてくる」と根回ししていたからなのではないでしょうか。
ミネバがフロンタルに「シャアは人間の弱さを持った人だった」という場面がありますが、シャアの人間味を取り去って、政治の道具になるために作られたのがフロンタルなのだとすれば、筆者は戦争で戦死していった強化人間への悲しみと、同等のものを感じずにはいられません。
ネットでの反応
フル・フロンタルって、モナハン・バハロが軍事的、政治的に優位に立つために、強化人間を整形し、シャアとしての記憶を刷り込んで作ったシャアの偽物って思ってたんだけど、違うのかな? 現にニュータイプとしての素養はシャア以下でしかないし。 地球降下前の、パイロットとしてまだまだ未熟なバナージの相手なら出来ていたけど、終盤はネオジオング使ってただけだから、一般兵とは比較にならんけどシャアと比べたら明らかにパイロットとしても劣るし。 あくまで「シャアを求める人達の為の器」以上の活躍ってしてないんだよね。
物語の前半では、「もしかしたら、シャア?」と思わせる役割は果たしていたのではないでしょうか。 存在感のある、良いキャラクターだったと思います。
説を考えるのは面白いし、そのために設定の余白があるのだと思うけど、個人的にはシャアのクローンである必要性はないかな。グレミーも怪しいがあれは血統こそが全てと主張しているので一応理念の根幹になるし、プルは明確にシリーズ化されているのでプル自身というよりニュータイプの量産という意図が強い。フル・フロンタルは背格好も違うし本人も自分がシャアだとは言っていない。シャアコピーに必要なのは所詮はプロパガンダとしての機能なので最低限必要なラインは赤い機体に乗って3倍の速度が出せること、おまけに見た目や声が似ていればいいって感じだと思うのでそもそもクローンでそれを実現するのは遠回りで、そういうことをする人はシャアに執着するタイプかなぁと。だとすれば、あんな政治のコマみたいにテキトーに扱わないと思うので違うのかなと思いました。
モナハン・バハロが、ネオ・ジオンの指導者としてNTならパイロットとしても強い必要があると考えていたから、ああいう形になったんだろうな。 ただの指導者でいいなら、前線に出る必要もMSに乗る必要もないんだから。 逆シャアにおいて「パイロットだけをやっているわけにはいかん」とか言っていたシャアだが、フロンタルが指導者だけやっているわけにはいかなかった、というのは皮肉でしかない。 シャアのクローンかどうかは置いておいて、昔はクローン人間というと(ルパン三世の映画が有名だから?)赤子ではなく大人の状態で分身したみたいになったり、あるいは促成培養された描写があったりするため、ガンダムもそういう感じなのかもね。
世界線と時間軸は違うにせよ、ガンダムSEEDシリーズあたりでは、クローンは細胞分裂速度の弊害で、成長も早いが寿命も短いといった設定もあったはず。 今配信されているアプリゲームのU.C.ENGAGEでは、正史のサイドストーリーとして、ペッシェ・モンターニュを主人公に宇宙歴0079〜0089までを追った物語が描かれたが、そのキモがクローンについての描写だった。 話の根幹になるネタバレは避けるが、クローンは一定の年齢に成長させた素体に、仮の記憶や知識を植え付けた状態で生み出されるケースもあり、自らがクローンだと知らされず普通の人間だと認識したまま存在している人物もいた。 仮にフロンタルがクローンとして、見た目通りの年齢を経ているわけではなく、シャアがいなくなってから生み出された存在だとしても全く不思議は無いと思う。
皆が望むならシャアになるってセリフがありましたよね…
確かにシャアと思わせれば仕事量としては上々…視聴当時は見事に騙されました!
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